大麻事犯実例 要調査項目−当時33歳,男性

 

捜査の端緒   

なぜ捜査が開始されたか?

弟の友人が家宅捜索を受け(覚醒剤所持容疑)、冷蔵庫内より私が譲った大麻バターが発見されたため。


当時の社会的環境は?

父の飲食店(一階)を手伝いながら、自分で開いた飲食店(二階)が、3年目を迎えていた。

家族構成は妻と3人の子供達(当時7歳、5歳、1歳)。

     
前歴の有無

過去に逮捕された事は一度も無い。


他の規制薬物との絡みは?

捜索にきた刑事から「覚醒剤があるだろう」と言われたが、他の薬物などは一切使用、所持はしていなかった。

 

捜査の過程   

任意取り調べ、捜索などの様子

刑事達がきた時、私は父の店を手伝っていた。譲り渡したのが二階厨房内だったため、営業時間中(午後8時頃)に6人の刑事が二階店内及び実家(棟続きで二階厨房内より出入りできる)を捜索。ちょうど私の店に客は居なかった。そしてアルバイトに一階の父の店を手伝うように伝えた。

閉店にする事も許されず、捜索途中に客が入って来たりしていたので、そのたびに断っていた。「大麻(乾燥物)を出せ」と言われたが、既に無かった。座敷が3部屋あり、真中の部屋に座らせられ、一人の刑事が対座していた。

何かいろいろ聞かれたが、何も覚えていない。他の刑事達は、何か目ぼしい物があるとその部屋に持ってきて、対座した刑事がそれについて質問していた。

厨房の天井に屋根裏収納への入り口があり、何があるか聞かれたので、栽培中の大麻があると言った。

栽培室からクローンされた9本の大麻草が発見された。その他、冷蔵庫から大麻バターも見つかる。

同時に自宅も捜索されていた。妻の母に来てもらい、子供を連れて行ってもらったと妻から聞いている。全てを引っ掻き回され、気持ち程度に元に戻

す程度だったらしく、何がどこにあるか全くわからなくなったと妻が言っていた。自宅からの押収物は、大麻に関連している書籍だけだった。

 

逮捕      

罪名は(所持罪、栽培罪など)

逮捕状は大麻取締法違反容疑(当初は所持と売買の容疑)だった。取調べを重ねていくうちに、栽培記録などから、栽培の罪に切り替わった。

 

逮捕時の様子

大麻草確認のため水溶液に葉っぱをちぎって入れる。ほんのりと色が変わった事を私に確認後、現行犯で逮捕される。

真っ黒な冷たい手錠をその場でかけられた。

立会人として父が上がってきていた。彼は平静を努めていたんだと思う。私は大きな声で父に「ごめんなさい」と言えなかったのが今でも悔やまれる。

 

弁護士の選任  

私選か、国選か、費用は?

金銭面でとても私撰は無理だと思い、警察署内での簡単な確認作業中(到着が夜遅かったため)に、国選で頼むと伝えた。

その後友人も逮捕され(私の栽培していたクローンの親株を発芽させた栽培罪)、その両親が知人の紹介で私選弁護士を頼んだ。

私は拘置所に移管された日にその弁護士が面会に来て、妻に頼まれたと言って、友人と私の私選弁護人であることを知った。

紹介があったと言う事で、30万円の弁護費用を2人で折半する事になった。

 

勾留      

勾留中の取り調べ

事件の内容を把握し、裏付けが取れるまで毎日取調べを受けた。最初の数日間は朝から夕方時には夜という事もあった。生まれてからのデータを集めるかのようにいろいろ聞かれた。

2日目には朝から大声で怒鳴られる。それは私から聞きだすための手段(自供させるための嘘)だった事がわかり、その場で刑事に注意した。この事件では他に逮捕者が3人いて、彼らの正しい証言と、警察の知りたい情報を質問に織り交ぜられながら、脅されたり(実刑になる・裁判に不利・大声で怒って聞く等)宥めたり(全部言ってきれいになれ・やり直しが聞く・お前の事を心配している、信用している等)されながら聞かれた。

私は出された人名や事実については嘘をつかず話した。警察側の知りたい質問には「知らない」で通した。
 

逮捕後に反省の色を示したか否か

自分では反省をしていたつもりだった。しかし、担当刑事の取調べや検事調べで、大麻を理解して欲しいという気持ちがあった。そのために、そういった話をしたことが、反社会的で反省の色が無いととらえられた。

接見禁止が解けて、妻が接見にきた時にその事を言われ、一緒に逮捕された友人の事もあるのだから「しっかり反省して」と涙ながらに言われた。

主犯である私によって友人に迷惑をかけられないと思い、裁判を争うという考えは無くなった。

 

起訴      

起訴か、不起訴・起訴猶予か

拘留延長によって最長の20日間(実質15日ほど)の取調べを受け、拘留が切れる日に起訴状を留置場にて確認する。

私の友人は拘留延長されずに私と同罪で起訴された。

事件の発端となった弟とその友人は、起訴猶予で10日間で釈放されていた。

 

保釈      

認められたか否か、保釈金は?

友人は私撰弁護士により2週間ほどで保釈金100万円で保釈された。

私の場合、弁護士が保釈申請が通らないかもしれないと伝えられていたが、逮捕後約一ヶ月で保釈金120万円で保釈された。弁護士料は全額返還(裁判をきちんと受ければ全額戻る)された際にそこから支払った。

 

公判      

審理の様子、公判回数・期間

罪状認否と判決の2回開かれた。供述した事をすべて認め、早く結審して欲しいと思った。保釈され、現実社会への生活に戻り、改めて反省している事を強調した。

 

求刑      

求刑・求刑理由

一年六ヶ月。本人は全く反省しておらず、再犯の恐れがある。

 

判決      

量刑(実刑か執行猶予か)・判決理由

懲役一年六ヶ月、執行猶予三年。大麻は精神的作用があることに違いなく、法で規制されている事を知っていて栽培した罪は重い。


事件による被害 

社会生活・私生活における物的・精神的な喪失・崩壊やそれに従う苦痛、自由の制限、近隣からの差別・いじめ・偏見など受けた被害を具体的に

逮捕時の「お前の人生どーにでもできるんだ」と言われた事や、「新聞にも出るぞ」と言われ、一万人そこそこの小さな町の大きな事件だったため、全てを失った、人生が終わったと思った。

始めの二日間は、取調べを受けていない時に、起きていながら夢を見たりしていて、心が壊れていくようだった。

子供が私の件でいじめにあった。子供本人は泣きながら帰ってきたが、理由は決して言わなかった。担任にはその事を伝えたが、知らなかったらしい。

幼稚園に迎えにいくと、子供達が帰りに遊ぶ約束をするのだが、はっきりと避けられたり、挨拶をされなかったり、親が遊ばせないようにさせていた。

小さな町なので、自分自身で街中での行動を不自由に感じていた。そのため人目につかない通りを選んで通り、買い物など人の多いところにはめったに行かなくなった。

なぜかテレビの娯楽番組に全く興味を失い、笑う事が無くなった。

判決を受けて一年半以上経つが、未だに人目が気になる事がある。

最近の事を挙げると、母が仙台に住む叔母から連絡を受け、心配していたと言っていた。話を聞くとテレビで顔写真つきの報道をされていたという。私はそれを聞いて絶句した。

その他妻が言われた事で、逮捕後二ヶ月経ったころ、夏祭りに子供を連れて歩いていた時の事を「よく人前に顔を出せた」と言われたという。

私はいつも、どんな悪い事があっても良い方に考える馬鹿のつく楽天家だったが、自分の住む町の住人のほとんどが、そんな風に私の事を思っているのではないか、と思うようになってしまっているのが悲しい。

しかし一番の被害者は子供達である事は言うまでも無い。

 

子供達へ

パパはこれからも君たちをしっかりと愛していきます。

守ってやれなくて本当にごめんなさい。

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