ここに来て3日目。午後一番に検事調べに行った。検察庁は署から6〜7分の所にあり、その建物のつづきが拘置所になっていた。ほんの6〜7分でも、2日ぶりの太陽は眩しかった。手錠をされ、その上から子供の運動パンツを改良した手錠カバーをつけて歩いた。車の窓から見える景色は、ぼんやりとして見えた。検察には裏口は無く、表の通り沿いから入る。通行人もすぐそこを歩いていれば、掃除のおばちゃんは帰りにたむろしている。なぜか俺は悪人の顔つきになった。

初めての検事調べは、一番偉い支部長検事だった。1時間半くらい待たされたが、検察や裁判所は、1時間くらい待つのはあたりまえとの事。その間に、おおまかな調書や証拠写真を見て、事件のあらましを理解しているようだ。時間的には20分で終わったが、その検事の持っている、空気と言うかオーラはものすごかった。色は白く透ける様で、線が細い。スーツが良いのはちょっと見ただけでわかる。表情は無かった。検事は黙々と調書に目を通していた。俺は手錠を外され、パイプ椅子に腰からつながった手錠をかけられ、姿勢を崩さずに彼の空気に呑まれていた。

突然「何でこんな事したの?」

あまりに唐突でシンプルな質問に、一瞬戸惑った。『落ち着け』と言い聞かせ、彼の目を見て大きな声で答える。なんと答えたかよく覚えていない。口の中はカラカラで、唾液は無くなっていた。初めての検察で、何を聞かれるかと身構える所もあったが、人に呑まれた自分に多少驚きながら答えていた。他の質問は、「バターは食べるの?」、「食べるとどーなるの?」ぐらいで、その日は終わった。

その後、裁判所へ拘留手続きのために向かった。普通逮捕後、48時間は警察が身柄を拘束し、その後10日間の拘留が許され、最長(一つの事件で)10日間の拘留延長が認められる。

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